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告知が患者さんに与える衝撃

 

 

外科病棟で働いていた時の話です。
 
とても明るく、愛想の良い患者さんがおられました。
 
病棟でも人気もので、
新人のナースだった私にも、いつも優しく接してくれていました。
 
その患者さんは、がんの精密検査、治療のため入院してこられた方でした。
 
検査の結果が出ましたが、
残念ながら悪性の所見
早急に手術が必要な状態であり、
 
主治医から患者さんに
病状説明がありました。
 
 
今でも覚えています。
 
主治医は、
 
「非常にショックだとは思いますが、これからの〇〇さんの人生に期待します。」
 
と力強く言われました。
 
 
 
 
患者さんはハイと答え、
はじめ普通に受け止めたように見えましたが、
 
 
しばらくすると表情は固く、
しだいに大声で乱暴な態度を取るなど、
まるで人が変わったようになってしまい、
 
 
しまいには手術に同意せず
勝手に自己退院されてしまうと言うような、
非常におおごとになってしまったことがありました。
 
 
病状説明の前後での
患者さんのギャップに
新人だった私は大きな衝撃を受けました。
 
 
 
 
がんの病名告知は、
患者さんの人生を変える非常に大きな出来事です。
 
 
医療者もそれはちゃんと理解しています。
 
 
しかし現実の告知は、ドラマで見るような重々しいものではなく、
 
意外にあっさりと、告げられることが多いように思います。
 
 
検査結果が出て、
告知と言う流れも、病棟や外来で日常的に繰り返されていることであり、
 
 
慣れもあるし、
一人ひとりの患者さんにいちいち感情移入していたら、
 
冷静で客観的な判断ができないと言う
医療者側の使命感もあります。
 
 
 
医療者はとかく
この、自分の仕事、使命と言うものを冷静に客観的に進めていかないといけないと言う気持ちが常にあり、
 
 
感情に支配されないように自分をコントロールする術を経験とともに次第に覚えていくようになります。
 
 
患者さんが亡くなった時に、
わんわんないているナースや医師がいないのは
 
 
決して悲しくないからと言うわけではなく、
感情をコントロールするように努めているからです。
 
 
この患者さんの思いに同調するという所と、
医療者として冷静で客観的なスタンスを維持しようという、
 
 
バランス、さじ加減が医療者として、
非常に難しいと思うところです
 
 
 
1つだけ言えるのは、
おそらく医療者が考える以上に、
患者さんは医師、医療者の言葉ひとつひとつ、
表現のひとつひとつに大きな影響を受けており、
 
 
医療者はやはり、
その不安や戸惑い、怒りなどに対し、
想像力や配慮が少し足りていないのではないかと思います。
 
 
 
今日もそんな場面があり、
あの時の記憶が鮮やかに思い出されたのですが…
 
 
ケースバイケースだとは思うのですが
経験豊かなナースであれば
どのように対応したのだろうと
反省…深く考えさせられました。
 
 
 
貴重な経験をさせていただいていると感謝します。
 
もっと研鑽しよう!
 
 
 
 
 
Mrs.GAGA
 
 
 
 
 
 
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